DIVING No.1
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    パラオ共和国は南北700kmに200以上の島からなる国である。パラオでダイビングをする場合
    主にコロール島周辺の島々を囲むように広がる巨大なバリア・リーフのエッジ(ドロップオフ)やアウター
    リーフ、チャネル、礁湖(ラグーン)の内湾性海域で潜る。アウターリーフのドロップオフは深い水深からの
    湧昇流によって様々な生態系を形成し多種多様の魚が生息する。一方、マリンレイクに代表される
    インナーリーフは内湾性海域独特の生物が豊富に生息し、これもまたパラオの強烈な個性である。

    今回のダイビングは2本目までアウターで3本目はインナーで潜った。アウターの豪快なドロップオフで
    スズメダイやハナダイ、回遊魚を観るのはとても好きであるが泥っぽいところでジックリとハゼなどを
    マクロレンズで狙うのは最高である。
    記憶のみで詳細に書いているので相当長くなる可能性がありますがダラついた印象になっていたら御免。
    些細な部分で事実と異なる場合もありますがそれも見過ごして頂ければ幸いでございます。
    尚、以下はもっと砕けた文章となりますが魚種などの誤りは即刻訂正連絡をくださいまし。


    2月8日 北西風 晴れ 気温30度 水温28度
     ブルーコーナー
    初日って皆緊張するし、耳抜きやらハウジングやらの確認もするので軽めなポイントが良いなと
    考えていた。400馬力もあるチョーかっとびボートの先でガイドのナガノ氏と世間話をしながら
    ポイント決定会談をすると「1本目はブルーコーナー行きましょう」というのだ。
    「おおぉ、いきなりブルーコーナー」と声を飲みこみ考えた。ブルーコーナーといえばパラオで
    1番有名なポイントでブルーコーナーしか潜らないと豪語する「お馬鹿さん」もいるほどで
    ギンガメ、マグロ、カジキ、ナポ、バラクーダなどで溢れかえっているポイントである。勿論流れも強い。
    「みんな大丈夫かしら」と多少心配はしたものの、「前日からの怪しいウネリ」と後日にやって来る
    「直行便による混雑」を避ける為、ブルーコーナーに決定した。怪しいウネリとは、北海道に台風並の
    勢力で移動速度の遅い低気圧が発生していると数日後パラオに北からのウネリが出てくるのだ
    とナガノ氏が語った。まぁ、チリの地震で沖縄に津波が来るくらいだから不思議ではないが
    言われてみると「北海道の低気圧でパラオにウネリ」は新鮮な驚きであった。

    400馬力かっとびボートで約50分、ブールーコーナーに到着した。ナガノ氏の「ブールーコーナーです」
    に誰一人として驚きの声をあげないのでちょっとカタスカシを食らった。
    まずは真面目でややアカデミックなブリーフィング。オケではブリーフィングなどという小洒落たものは
    ないが緊張していることもあり皆真面目に聞き入っている。
    「回遊魚、ワイド狙いの方はいますか?ガイドが二人いるので分けられますよ」に無返答。
    思わず爆笑するナガノ氏に申し訳なさそうに手を挙げワイド希望をするアサイちゃんであった。
          
    まずはボート下に集合。全員すんなりと潜降し目の前のドロップオフを降りていく。
    オヤジは最後方から着いて行くとすでにアケボノとヘルフリッチは人で一杯だ。更にその下32mの
    ホコラからも足が何本も見える。んー、やっぱりアケボノ、ヘルフリッチは人気があるわ。
    するとナガノ氏がホクロキュウセンの♂を教えてくれた。ケラマではホクロキュウセンの♂は
    滅多に観れないのでスカサズ撮影にはいる。コイツはキュウセンにしてはあまり動かないので
    撮り易いがいつも露出を間違えるので慎重にやった。
    そのうち空いたらヘルフリッチの撮影をしようと思っていたけど・・・あきゃしないじゃんね。
    仕方が無いのでオオテンハナゴイをやっていたら、マルチカラーエンゼルをナガノ氏が指しているじゃ
    ありませんか!しかも2匹。マルチカラーはミクロネシアチックな色合いの小型のヤッコで大好きである。
    ヤマナシ夫妻が先に観ていたので待っていよいよ撮影という時はちっとも出てこなかった。。。トホホホ。
    そのうち時間も来て浅場に移動を余儀無くされ結局なんにも撮れなかった。
       
    浅場ではゼブラハゼの群れがアチコチにいる。ケラマにもいるが敏感でちゃんと撮らせてもらえない。
    ブルーコーナーのは・・・やっぱり寄らせてはもらえなかった。イエローテールダートゴビーという
    オグロクロユリハゼの1種がゼブラ近くに群れているがこいつも寄らせてもらえずパラオ1本目は
    9カットと非常に少ない撮影枚数で終わってしまった。オヤジはみんなが楽しめればそれでいいのだ。

    一方、ワイドのアサイちゃんはカルビンというローカルガイドと共に先端に向かったが強烈な流れで
    ストロボアームがどんどん広がって抵抗が増え撮影することもママならぬ状態だったらしい。
    それ以来アウターリーフでワイドを持つことは無かったアサイちゃんであった。ウフフフッ。

     ビックドロップオフ
    ブイを取り暫し休息。その間ヤマナシ氏は当然ながらスキンダイビングに出掛けていった。周りには
    スノーケルツアー外人部隊がワンサカといて何やら叫んだりしている。ここは前回パラオの1本目に
    潜った場所でアルファスズメダイ沢山、通称ナガノヒロシというベニハゼ(これはナガノ氏が発見し自分で
    自分の名前を付けて呼んでいるベニハゼである)もアチコチにいる。スミレナガハナダイは何と5m位で
    みれるというポイントである。ここではドロップオフの壁沿いにドリフトすることにする。

    やはりボート下に集合し、泳ぎながら徐々に潜行していくとすぐにアルファとベータが目に付く。
    スカサズ撮影に入るが中々良いアングルに向かないし、あちらこちらで観かける度に撮影する。
    実は、アルファが今1つ海中での認識が出来なかったのでパラオで再確認しようと思っていた。
    案外実物を見ると直ぐ判ってしまうもので教えられなくてもドンドン観つけられた。しかし沢山いるもんだと
    改めて驚いた。帰国して現像に出したら・・・アルファはどアンダーで観られるものではなく
    自分の技量をこんなに憎んだことは今までにそう無い。しかもちょっと赤味のある個体を観付けて
    これでもかというくらい撮影したのに・・・くそっ!と地団駄を踏むオヤジであった。。。

    しかもアルファに掛かりきりでアウターリーフダムセルの撮影を忘れてしまうという失態付きだ。
    アウターリーフは地味だけどパプアニューギニアの一部とパラオでしか見付かっていない稀な
    スズメダイなのである。
    ビックドロップオフはハナダイが豊富であり、壁の切れ目やちょっとしたオーバーハングには
    オオテンハナゴイ、フチドリハナダイが沢山、バートレットフェアリーバスレットやレッドチーク、アカネなどが
    桜吹雪きのように舞っている。ガイドのナガノ氏が次々に紹介する魚をみんな夢中で撮影している姿は
    リーダーとして何とも言えない満足感を感じてしまった。全員が満足度の高い2本目であった。

朝はドンヨリしている 楽ちんな出発 真剣なブリ。手前は海坊主


     マリンレイク
    2本目を終わって屋根付き無人島でランチを頂いた。この島はポイント集中地区とコロール島の間にあり
    便利なのか多くのサービスが利用するようで3〜5隻のボートが既に付けている。
    暖かいお茶と弁当が島に運び込まれ我々も島に上陸し弁当をおいしく頂いた。この島から40分ほどで
    マリンレイクに到着。とても懐かしい景色である。思えば新婚旅行がパラオでこのマリンレイクの船上で
    お弁当を食べ、入り口水路の美しいイソバナ辺りでオヨギウンチをしたっけ。。。あぁ、懐かしい。
    マリンレイクは淡水が混ざる汽水域で独特な生物層を形成している素晴らしい場所である。
    船の下にはニシキテグリやマンジュウイシモチが見られウスモモテンジク、イトヒキテンジクなど
    サンゴから隠れるわけでもなく堂々とし、撮影は容易。ケラマでは考えられない状況だ。
    スズメダイがまた沢山居て、ケラマでは見られないホワイトダムセル、ブルースポットブルーバック
    コーラルダムセル・・・何と言ってもクジャクスズメの美しさは一押しで「スズメダイ好きで良かった」と
    ツクヅク感じることが出来る。
    今回デジカメにワイドコンバージョンレンズをオケアノス顧客UNIさんから借りて付けているし
    折角だしオヨギウンチのイソバナを撮ろうと行って見たら・・・イソバナはもうそこには無かった。
    俺のウンチのせいでは無いことはハッキリしているが何だか拍子抜けしたしまった。近くのイソバナを
    撮影してみるがやたらと暗くて絵にならんかった。マリンレイク内に戻り浅場でワイドレンズを向けてみたら
    これが中々良いのでバシバシ撮影する。んー、借りてきて良かった。
    マリンレイクは皆相当気に入った様子で最終日もマリンレイクに決まったくらいである。

    70分ほど堪能したあとホテルへ戻る。「ホテルの近くでスキンしても大丈夫でしょうか?」とヤマナシ氏が
    ナガノ氏に伺うと「ボートが多いので充分注意してくださいね。でも、ワニいるよ」「えっ?ワニ?」
    その日はやらなかったヤマナシ氏であった。

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