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しい朝である。朝陽が湿った木々から蒸発させた水分をたっぷりと含んだ空気の香りは南国の香りである。
 沖縄は亜熱帯でこの香りに近いが、南国のそれではない。今日も快晴快晴。
 小道をゆっくりと歩きながらレストランへ向かう。昨夜と同じテーブルに座りメニューに目を通す。
 こっちのABFも気になるのでまたしてもABFにした。早速コピを注文し、従業員の中に憧れの君がいるかの確認。
 ひとり若そうでスタイルが良さそうな女性がいるではないか。顔を見ても「あれ?あの人だっけ?」・・・なんせ3年前に
 チラっと見たきりなので憶えていないのも当然だが、オヤジはその人があの人であると睨んだ。
 アサイちゃんに聞いてみると「違う。あんなに太くなかったし、化粧も濃いので別人」と答える。そうかな?似てるけど。
 
● 第4日目 リパ 左×2、 右     3本とも90分   気温30度 水温28度 快晴・ベタ凪

 いよフラッシャーてんこ盛りだ。レストラン横の小道を通って海岸へ出るとなだらかな斜面の砂浜。水平線近くに
 ロンボク島が見える。あの向こうにウォーレス線があると思うと理由も無く燃えてくるのであった。
 ここはトランバンと違い砂浜なのでENがとても楽である。足をとられることも無くとてもスムーズにフィンを履きマスクを
 着けて入水すると、直ぐ健康そうなサンゴがあちこちに生息し、−8mほどでサンゴ地帯と砂地の境目に出る。
 その境目を泳いでいくと、黒くてデカイ魚が目に入った。良く見ると胸鰭付根がオレンジ色だ。おっ、クロスの成魚。
 トランバンからクロスの成魚を探していたが見付からなかったので嬉しくなってヤマナシ妻に教える。
 デカイくて威風堂々とし、とても撮影し易い良い子でした。

 暫らく行くとスカシテンジクとアカネハナゴイが群れている根があり、浅くて明るくて少し流れているのでとてもキレイ。
 この後のダイビングでワイドで撮影することにした。
 その先は斜面になっていてキャベツのようなキクカサンゴ群があり、様々な種類の魚が所狭しと泳ぎまわっている。
 先ずはルソンハナダイの婚姻色。見つけた時は婚姻色を出してるけど撮ろうとすると止めちゃうのはツースポットと
 同じで(ハナダイは皆そうだけど・・・)ルソンはあっちへこっちへと移動する速度が早いので苦労する。
 ルソンは一見ケラマに似ているが、尾鰭の後縁に太くて明瞭な横帯があるので簡単に区別できる。
 追いかけてまわして数枚撮影後、みんなを見ると先のパラオイソギンチャクの周りに集まって何かの撮影をしている。
 行って見ると、そこにはイエローフラッシャー、ウィップフィン、フィラメンテッドフラッシャー、ブルーストライプフェアリー
 などが、ゴチャといる。パラオイソギンチャクにはクリーニングシュリンプとホンソメワケベラがいて、各種フラッシャーが
 矢継ぎ早にやって来ては掃除をしてもらっている。やはりここでもNEXTがクリーニング体勢を取りホバリングするので
 その瞬間は撮影し易いけど、色彩が単調で面白味にかけるので是が非でも婚姻色を撮りたいものである。
 
 フラッシャーの婚姻色はとても素晴らしい。イエローの場合、全体的にやや濃く、背鰭の赤味も一層増し名の由来でも
 ある臀鰭の黄色がとても鮮やかになる。全ての鰭をこれ以上広がらないくらいに広げてメスを誘うのだ。
 ケラマにいるクジャクベラはあまりの高速泳でカメラでは追いつかないが、バリのフラッシャーは一旦ヤリ始めると
 30秒近くヤリっぱなし、しかも目の前で何匹ものオスがやるので、撮り放題状態となる。まさにフラッシャー天国だ。
 そんな状態でフィルムを湯水の如く使っていって・・・おっ、マッコスカーを忘れていた。
 ガイド山田は5〜6はあるフラッシャー群をじーっと見つめマッコスカーを探しているようだが、後姿が寂しそうなので
 いないと判断し、数枚残して全てをイエローとフィラメンテッドに費やした。帰り際にゴールドスペックジョーと戯れて
 いたら気付くと一人になっていた。仕方がないので寂しく戻っていくとクロスの中間色個体を発見!体は暗黒色に
 近いけど、腹鰭など各鰭にオレンジ色が残っていてこれまた素晴らしい。しかも全然動かないのでコンパクトデジでも
 容易に撮影出来ちゃった。フィルムが残っていなかったので助かりましたぜ。いくらクロスの季節だと言っても、
 3年前見れなかったクロスの老・成・幼、中間が簡単に発見出来ちゃうなんて。。。うふっ。

 海岸線に上がりリゾートの小道途中にある鉄砲水道で砂をざっと流し、タンクを置いてハウジングをプール内の浅瀬に
 入れる。みんなが置くからプール入口はハウジングだらけになっちゃった。(表紙写真参照)
 レストラン横の日陰でミネラルを飲みつつ図鑑を見ながらフラッシャー談義で満開だ。そんな中でクロス中間の写真を
 みんなに見せると、「おおぉ!」と唸る全スズ振フラッシャー愛好会メンバーであった。

 
2本
目も同じ場所へ行くのでそれぞれが反省と成功を元に計画を立てているようで、ENした瞬間から花火のように
 散らばったかのように見えるが、全員がフラッシャー直行に近い。トリス君のワイドレンズを借りて、さっきの根の
 スカシ&アカネを撮影。程良い流れで魚がまとまり良い感じで撮れた。気をよくしたオヤジはジョーもワイドで撮ろうと
 試みたけど、全然駄目であった。あんなにレンズ近づけたら出てくる訳ない。
 休憩の時にガイド山田が見た「変なフラッシャー」を教えてもらうと・・・ん?本当だ。ロイヤルじゃん。あれ?背鰭は
 フィラメンテッド・・・おぉ、ロイヤルとフィラメンテッドのハイブリッドか!これまた素晴らしいではないかい。
 どの図鑑でもみたことのないロイヤル+フィラメンテッド(略してロイフィラ)。1匹しかいないし、シルエットが独特で
 見失っても直ぐに見付かるからとても楽、そしてあまり逃げない。時折出す婚姻色で、体がややメタリックなブルーに
 なる。(写真を撮ると赤)その美しさのあまりに、イナバウワーをやってしまいそうなオヤジであった。

 バシバシと撮っていると、いつの間にやらトリス君が横で撮っていた。凄い発光回数じゃん。うぅ〜、デジタル〜。
 撮っていると段々流れが強さを増して来て戻ったほうが良さそうな気もしたけど、その流れがフラッシャーの動きを止め
 鰭全開的中層停止状態になるので撮影をやめられない二人だった。
 フィルムの残が少なくなりやっと戻る気になったが、その頃にはかなり激流になり浅瀬へ戻るのに息切れ寸前でした。
 浅瀬のサンゴ群落に行くとみんなゆったりと思い思いの魚を撮っていて、さっきまでの激流がウソのようである。
 浅瀬では、クロス中間色、ミヤコキセンスズメyg、不明種ygを数種、イチモンygなどを撮影し、長時間潜水を終えた。

 
昼食はレストラン横の休憩場所のテーブルで頂く。藤棚のようになっているので日陰が出来ていて丁度良い。 
 今日はナシゴレン。運んでくれたのは、憧れの君である。よくよく見てみると、やっぱり3年前のあの娘に見えて来て
 「やっぱりそうじゃない?」とアサイちゃんに言うと「んにゃ、違う」とカン高い声でやや怒ったように言い放った。
 あくまでも以前のイメージが拭い去れないようで「3年も経てばネ、酒も男も知るし結婚してガキの一人もいるさー」と
 同一人物だと認めさせたい意地悪ジジィと化していた。
 折角なのでトリス君から借りたワイドレンズを使って、バリログの表紙の撮影をしようとプールに入り下から花や太陽、
 椰子の木などを撮ったりしてみた。プールは淡水でよく沈むし、泡が入らないようギリギリまで我慢して撮って、
 足着かないし、一瞬溺れそうになったりと苦労したのに、結局はご覧の表紙の写真に落ち着いてしまう。

 
折角なので3本目は右方向の泥砂へ行くことにした。オヤジは無類の泥砂好きである。ゴミなんぞ溜まっていると
 素通りが出来ず、イジリまくる習性があるのだ。ENし進んでいくとなだらかな斜面になりボトムで12〜15mと浅く
 大きなウネが山と谷を何箇所も形成している。谷には怪しいゴミ溜まりがいくつもありワクワクする。が、全体的に
 殺伐として生物が少ない。斜面に少々のカスリ、サルハゼが見られる程度でゴミの中も生物は発見出来なかった。
 詳細に見ていたら、いつの間にか単独になりウロウロしていたらカスリの黄色個体を発見し撮影。判らんエビなど撮り
 浅瀬のエッジに上がって戻っていった。暫らく行くと皆がいて、ガイド山田にフグのyg2匹を教えてもらう。これが
 結構可愛いので残フィルムの殆どを費やして撮影してたら、またしても単独になってしまった。
 浅瀬のサンゴ地帯に戻ると、スズメダイのygが明るく出迎えてくれてほっとし、印象薄い3本目を終了した。
 
アフターダイブ

 ミンピでも貼り付けたオケアノス&全スズ振のステッカーをここにも付けちゃおうとトリス君と正面玄関の受付へ向か
 った。数種のパターンでシミュレーションをしたけど、行ったら受付カウンターに誰も居ず呼んでも返事も返ってこない
 のでスンナリと貼れてしまう。各コテージの入口玄関の上方に色々な顔が飾ってあり、結構な種類があることに気が
 ついたオヤジは写真を撮り始め各ページ上下のバナーを思いついた。自分のセンスに惚れ惚れするこの頃である。
 
 今夜はエビカニ好きのアサイちゃんだけがナイトダイビングをすると言うのでナイト出発後夕食にした。ガイド山田に
 よると、「夜潜りはエビ・カニざっくざく」らしい。ワクワクしながら二人の出発を見送り、残った4人でテーブルにつく。
 見繕い人が不在で不安もあったが、絶品トマトスープやピザ、各バリ料理を注文。ビンタンとARAKをやりながら
 鱈腹食った。楽しい宴の遠い暗闇でストロボ光が寂しげに光っていた。
 宴も一段落したころアサイちゃんとガイド山田が戻ってきた。なかなか満足気なふたりである。

 速攻で着替えてきてテーブルに着き「お疲れ様」と乾杯し、空腹な二人はメニューを眺める。みんなでさっき食べたトマ
 トスープの絶品さをアピールしたが頑固一徹でコーンポタージュで攻めるアサイちゃん。何故かコダワルんだよなぁ〜。
 コーンのかき揚をフライパンで更に焼いたような感じでサクサクジューシーなライトで美味しく、名前が難解で憶えられ
 ないのがあって、前日食してこの料理がお気に入りのアサイちゃんは再度注文するが、「先程のコーンポタージュ
 でコーンを使い果たしました」・・・非常に悔しがるアサイちゃんだったが、この後のバリでこの料理を目にすることは
 なかったのである。何でも、一般的家庭料理でレストランで取り扱うのはちょー稀なんだとか。
 コダワリは時として最悪なケースを招くこともある。
 牛飲馬食な4人はナイト二人を残し、「部屋で待ってるねぇ〜」となどと調子の良い事を言い部屋に戻ったが
 速攻で爆睡し最終日の朝を迎えた。
 
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日陰は爽やかな風が吹き、気持ちが良い ENし易い砂浜。遠くにロンボク島が見える。 ナイト帰りのガイド山田。 ダイビングが終わると、こんな状態 潜って飲んで食って寝る。極楽浄土である。