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 ルーダインドネシア航空GA881は静かにそしてスムーズに滑走路にすべり降りた。成田からのフライトは
 全てが順調で機体の揺れもほとんどなく、ストレスもあまり感じなかった。

 と言っても、機内に大勢居合わせている学生風貧乏波乗り野郎たちの傍若無人振りにはストレスを
 感じずにはいられない。特に私の前席の男は身長が190ほどあり、座高も高く、しかも髪がモジャモジャで
 機内のスクリーンが全然見えないのだ。最近は諦めているとはいえ、毎年楽しみにしている日本公開前の
 映画をまたしても観る事ができなかった。
 どうみても、決してバリの波を乗りこなせそうにも無い波乗り野郎たちは毎年増加傾向にあると思うのだが
 往路の波乗り野郎は復路でバカップルになっていたりして、相手女のバカ面ともお似合いである。
 あぁ、またしてもオヤジはヤリ所のない怒りをぶつけてしまうのであった。

 今回クライブカッスラー新作「極東細菌テロを爆砕せよ」を持ち込んだのだが、全然読むことが出来なかった。
 ツアー開催での心配なことがいくつかあって、それが気になっていた。
 ひとつは毎回ガイドをお願いしていたBali Dive&Dive'sの山田道彦が手一杯でガイド担当ではなく
 現地ローカルのガイドで潜ることになってしまったのだ。それでなくとも、うちのツアーはややマニアックに
 スズメダイばかりを追いかける曲者揃い。リクエストは軽いくせに、見られないと酷い罵声を浴びせるという
 わがままを通り越し、傲慢と思われても仕方のない面々である。
 山田くんがいなくて提案したテーマを遂行できるのだろうか・・・。

 そんな心配を他所に、やや遅れ気味にやって来たアサイちゃんの顔には大きなマスクが掛かっている。
 目は虚ろで活気がなく、とても辛そうだ。インフルエンザじゃないらしい。。。
 昨夜38.5度あってほとんど寝てないと言う。・・・大丈夫なんですか? 心配事がひとつ増えた。
 機内食も食べてよく寝ていたせいか、デンパサールに到着する頃には朝とは別人のアサイちゃんだった。
 ちょっと安心。

 大きな問題もなく空港の外へ出ると、円→ルピア(1円=約80Rp)の両替を先に終えた数名が
 2人のバリニーズと話をしていた。2人のバリニーズはガッチリタイプとほっそりタイプで、
 ガッチリタイプと目が合うと、やや甲高い声で「モリヤマさ〜ん、ですかぁ〜」などと言いながら
 妙に人懐っこい笑顔をふりまき、手もみしながら近寄ってきた。
 DIVE&DIVE'Sの話ではパルサーという人が迎えに来ているはずです。と連絡を受けていたのでこの人が
 パルサーさんかと思ったら、「ワタシはぁ、スジャナと言います。がぁ〜、シューと呼んでください。」と流暢な
 日本語で自己紹介してくれた。もうひとりの細くて髪の薄いのがパルサーだった。
 優しそうな笑顔で自己紹介し友好的握手などをするが、多くを語ろうとはしないようだった。

 全員が揃うと荷物を保冷車のようなアルミコンテナを積んだ車に入れて、私たち7名とシューはいつもの
 三菱ディーゼル車に乗り出発する。パルサーはどうやら荷物車に乗っているようであった。
 車中でシューは自分のことなどを良く話す。話好きな陽気なバリニーズって感じだけど
 海の中は大丈夫なんだろうか。

 バリは横に長い島で、目的地はデンパサールの北に位置するから島を縦断するのだけれど
 バリ中央には2000〜3000m級の山々が連なってそびえたっている。
 市街地から出たあたりで暗くなり始め上り坂が連続する頃には真っ暗になってた。
 途中にはブラタン湖という湖のすぐ横を通ったけど、残念ながら真っ暗で何も見えなかった。
 あとからガイドブックを見たら、湖に寺院が浮かんでいると書いてあった。
 
 車中では、相変わらず寝たり起きて喋ってみたり、また寝たり・・・と長い時間をやり過ごす。
 途中雷雨にも見舞われて先々不安になったりしたが、山を降りた頃には雨はやんでいていた。
 
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虚ろなアサイちゃん

  1年ぶりのBINTAN

  無事に到着したGA881便